盗めるアート展に思ったこと

盗めるアート展をご存知だろうか。東京都品川区にあるギャラリーにて7月10日午前0時から開催予定だった展示イベントだ。(盗めるアート展Webサイト)Twitterのトレンドに挙がったことで知った人もいるだろう。来場者1組につき1点作品を盗んでもよいというルールで開始した展示会だったが、ご存知の通り、開場前に暴徒が押し入り15分程度で全作品が盗まれ終了した。さらにギャラリー前の混雑や騒動により警察が駆けつける事態になってしまった。

自分は以前Twitterで偶然この展示会が開催されることを知り、面白そうだなと興味はあった。地方住みなので行けはしないが、盛り上がるといいなと思っていた。しかし実際に開催された展示会は酷い有様だった。企画自体を楽しむ余裕などなく、ただ転売目的だったり好きでもないのに無料だからと我先に押しかけ持っていく輩がほとんどだった。すでにメルカリやヤフオクなどで多数の作品が転売されている。主催側はこれを想定していたのだろうか。作品をじっくり楽しんだうえで、気に入った作品を持っていく人もいるといった穏やかなものを想像していたのではないだろうか。しかしながら、多くの人に来てもらおうと告知した結果、「盗めるアート」という言葉が一人歩きし、無粋な輩にまで広まってしまったというように見える。まさか、ここまで想定してあえて…?

メルカリで取引される作品たち

Twitterのニュースツイートでこの事態を知ったとき、子どもの頃、実家の近所にあったレンタルビデオ屋の閉店セールに行ったときのことを思い出した。
何回か借りて好きだった作品が残っているといいなと思いながら行くと、店内は沢山の人で埋め尽くされていた。人混みに押されながらようやくたどり着いた、好きだった作品のあった棚はすっかり空になっていて残念だったが、別のエリアに移動したときに驚いた。印象に残っていたのは、タダ同然の値段だからと端からざっくりとカゴに入れていく客の姿だった。それが何の作品かおそらくタイトルを見もせず、他人に奪われる前に買ってやろうとする卑しい大人の姿に悲しくなったのを覚えている。その作品が好きで買いたいと思っている人が他にいるかもしれないのに、そんなぞんざいに扱うのかと。無料とはそういう人種に目をつけられやすいのだと理解した。

このブログを読んでいる人はブラックボックス展を覚えているだろうか。中で何が行われているのか、入場者の選定基準は何なのか、詳細が公開されない「謎」に包まれた企画で、「よかったから皆も行ってみて」というぼんやりとした口コミによってものすごい拡散が起こった展覧会。こちらも結局暗闇の中での痴漢多発により終了したのだった。(ブラックボックス展の騒動についてはこちら

これにも言えることだが、常識から恐ろしく外れる輩は確実に一定数存在する。そして、イベントや展覧会を催す際はそれを想定して企画しなければならない。アートや企画を純粋に楽しむ人がいる一方、はなからそんな気もない人も訪れる可能性がある。

自分も何か大きな催しをやってみたいと思ったときにそういったことを念頭に置いておきたいものだ。

ではまた。